東北6県の暮らしに根づいた手仕事を今に伝える「東北スタンダードマーケット」。山や海とともに育まれてきた工芸や、土地の記憶を映す模様が並びます。なかでも青森・津軽の「こぎん刺し」は、厳しい寒さの中で布を補強するために生まれた実用の手仕事。受け継がれた美しさを、今の暮らしにそっとつなげています。
今回紹介するのは、このこぎん刺しを現代の暮らしに寄り添う形に仕立てたポーチやブックカバー、名刺入れです。「弘前こぎん研究所」に残る図鑑の中から選んだ文様を、鮮やかな水色の生地にのせたシリーズは“淡雪”と名付けられたもの。旅先でバッグから取り出すときも、机の上でふと目に入るときも、津軽の手仕事がやさしい温度を添えてくれるアイテムです。
津軽の知恵と美しさが結ぶ、こぎんの模様を日常に【こぎん刺しポーチ】

青森・津軽に伝わるこぎん刺しは、寒さをしのぎ、布を補強するために生まれた実用の手仕事。麻布の織り目を奇数で数え、木綿の糸を刺していくことで、菱形などの“モドコ”と呼ばれる模様が浮かび上がります。柄が複雑になるほど裏糸が重なり、あたたかさと丈夫さが増す——土地の知恵が息づく技法です。

細かな刺し目の凹凸が光を受けて揺れ、手にした瞬間に表情の豊かさを感じるポーチ。内布つきで形が崩れにくく、コスメや文具、小物入れにちょうどいいサイズです。バッグから取り出すたび、ひと針ずつ積み重ねられた時間がそっとよみがえり、日々の相棒として寄り添ってくれます。
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手になじむ刺し目の心地よさが、読書の相棒に【こぎん刺しブックカバー】

布を強くし、寒さから身を守るために生まれた暮らしの知恵から生まれたこぎん刺し。布目を数えながら糸を重ねることで、連続する菱形や小さな幾何模様が浮かび上がります。その均整のとれた刺し目が、ページをめくるたびにやわらかな存在感を添えてくれるブックカバーです。

文庫本にぴたりと収まるサイズで、しっかりとした手触りが特徴。かばんに入れても角が折れにくく、本をやさしく守ってくれます。読み進めるほど手になじみ、刺し目のリズムがほんのりと気分を整えてくれるよう。読書時間を少し豊かにしてくれる、静かな相棒です。
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幾何模様の美しさが、第一印象をそっと整える【こぎん刺し名刺入れ】

こぎん刺しは、麻布に針を刺し進め、整った幾何模様を生み出す技法。連なる刺し目の美しさをそのまま閉じ込めた名刺入れは、手に触れたときのほどよい張りが心地よく、ものづくりの背景を知る人の手元にすっと馴染みます。文化や技法に興味を持つ人との、さりげない橋渡しにもなる一品です。

自分の名刺を入れるポケットと、相手から受け取った名刺をしまえるポケットのシンプルな2室構造。模様の細やかさと凹凸の質感は、名刺交換の場で自然と目に留まり、「これ、どこのものですか?」と話が弾むことも。堅くなりがちなシーンにほどよいやわらかさを添え、印象づくりをそっと後押ししてくれます。
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作業着の知恵から生まれた、津軽だけの刺し子文化

こぎんとは、もともと麻で作られた作業着を指す日本の言葉。その補強のための技法が独自に発展し、布目を数えながら木綿糸を刺して幾何模様を生み出す刺し子として受け継がれてきました。ひし形を基本にした最小単位の図案「基っこ(モドコ)」は、農具や日常の風景に由来するものが多く、その種類は600を超えるともいわれます。こうした津軽ならではの刺し方は、今もていねいに守られながら“淡雪”のように現代の色や形へと表情を広げています。

藍染の麻布に白い糸——色の自由が限られていた時代だからこそ、女性たちは模様そのものに創意を凝らし、左右対称の端正な美しさを磨き上げました。わずかな要素から豊かな文様を紡ぐ姿は、限られた音階から無限の旋律を奏でる音楽にも重なります。寒さの厳しい土地で衣服を強く、長く使うための知恵は、今では東北の美意識を象徴する手仕事へと昇華されました。
東北スタンダードマーケット×弘前こぎん研究所

東北の暮らしに根ざした手仕事を紹介してきた「東北スタンダードマーケット」と、長く津軽こぎん刺しの継承に力を注いできた「弘前こぎん研究所」。この二つが出会い、地域に息づく技を今の暮らしに寄り添うアイテムへと仕立てたコラボレーションです。伝統の図案を選び取り、現代の色やサイズへと落とし込むことで、日常に取り入れやすい形に。東北の土地に受け継がれてきた手仕事の魅力を、旅するように手にできるシリーズです。